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小学生の頃、夏休みの宿題で天体観測をしに、近所の土手に友達数人と来ていた時だった。
その流れ星が流れたのは。
「わぁ!見て見て!!流れ星!
ね、ね!てっちゃん!見てる!?」
てっちゃん、と呼ばれた少年は、興奮気味に夜空を指す少女に、自分も興奮気味に答えた。
「見た見た!すっごかったなぁ!
あ!願い事言うの忘れてた!」
「てっちゃんもリカコも、間抜けだなぁ!おれはちゃーんと言ったぜ!」
そう自慢気に話すもう一人の少年の態度は、正に天狗。
へへん!と胸を張って、ニヤリと笑っている。
「え?何をお願いしたの?マーくん!」
リカコにそう、詰め寄られて、思わず後ずさるマーくん。
心なしか、顔が赤い様に見える。
「そっ…それは…!ひ、ヒミツだ!ヒミツ!!
誰かに言っちゃうと、願い事は叶わなくなるんだぞ!」
ふん!とそっぽを向くマーくん。
(どうせ、リカコとずっと一緒にいれますように、とかだろ?
マーくんは解りやすいからなぁ。)
てっちゃんは、横でキャッキャとじゃれ合う幼馴染二人を見て、そう思った。
ふと、夜空を見上げると、また流れ星が流れた。
てっちゃんは息をする様に、願った。
(大好きな幼馴染達と、ずっと一緒にいれますように…)
その願いは、いつか違えるかも知れない、儚い願い。
いや、いつかは違う道を歩いて行くからこそ、そう願ったのだ。
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