第1章

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僕のこの"体質"は、確かに彼女に出会う前からの事だった。でも、彼女に出会ったから、少しずつだけど受け入れられるようになったんだと思う。 不思議というか、不気味というか、厄介だし面倒だし。痛いし、苦しいし……。 いいことなんかひとつもない、僕の体質。 僕、坂木 響(さかき きょう)は普通ならありえない体質をもっている。 死ぬと猫になる、という。 しかも"事故"に限定された死。 そんな事故なんかそうそう起こり得ないのに、僕の周りでは……いや、僕が事故を引き寄せてすらいるらしい。 例えば居眠り運転の車に突っ込まれ、死ぬ。 例えばスピード出しすぎで交差点に侵入してきた車が他の車に衝突し、ビリヤードでもやってるかのように車が吹っ飛び、僕を押し潰す。 例えばビルの三階辺りの窓ガラスが突然割れ、道を歩いていた僕の頭や体に破片が降り注ぎ…………なんてことも。 いつでもどこでも、僕には死ぬ運命がまとわりつく。 そして死ぬたびに、小さく無力な体になるんだ。
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