第1章

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高校の入学式はなんとか終えた。神様もさすがにこの良き日くらいは事故に遭わずに済むようにしてくれたらしい。 そもそも神様がいるならこんな体質をなんとかしてほしい……。 思わぬ事故は、翌日に起こった。 住宅地の中にある小さな公園に昔から植えられている桜の木。満開に花開き朝の慌ただしい時間を忘れさせる存在感。 僕はその桜を見るために早起きし、高校とは逆の位置にある公園へ向かった。 自転車を漕ぎ、淡いピンク色が優しい風に揺れるのがみえたころ。 僕の視界に一台の車が入り込み、桜の色を掻き消した。 横たわった僕は、自分の血で染まる視界を無理矢理まぶたを閉じて遮る。 湿ったぬくもりが少しずつ冷たくなっていく。 少し、眠っていたかもしれない。夢を見たかもしれない。僕は今度こそ、死んだのかもしれない。 そう、思ったのに。 だって、僕は死ねない。 不意に近くに動くものの気配を感じて、反射的に飛び起きた。その拍子に体に触れていたものを引っ掻き、地面に降りる。 目の前にいたのは、女の子だった。 「……っ、ごめん!」
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