12人が本棚に入れています
本棚に追加
それもそうだ。相手が出たら代わってもらえばいいのだ。
今更非通知にしたところで相手に番号は知られてしまっている。番号通知のままでかけることにした。
耳にスマホをあてたまま警官の顔を見ていた。相手が出たらすぐに代わってもらうつもりだ。
バイブ音が聞こえた。警官の携帯も鳴りだしてしまった。
ちょっとと玄関の方へ歩みを寄せた。彼が戻るまで話を繋がないといけない。すぐに戻るはずだ。
『はい。高橋さん。』
やけに近くで声が聞こえた時に気が付いた。
警官は携帯を耳にあて玄関のカギをかけ、こちらへ歩いてくる。
「奈津さん。部屋に入れてくれてありがとう。
人をすぐに信じると危ないですよ。警察手帳見せましたっけ? アハハハハ。」
部屋から出られなくなって1か月。
手錠で浴室のシャワーに繋がれた。大きな声を出しても助けは来ない。
食事もトイレも全てここで行わなわなければならない。
個人情報を無造作に捨ててしまった。
あの日入っていたチラシにムカついた。
不用意に携帯番号を知らせてしまった。
長く続く監禁生活。
これが全てのはじまりだった。
Start
最初のコメントを投稿しよう!