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「相変わらず――そちらは賑やかで楽しそうですね」
我が家にいたことを
すでに懐かしむような言い方で
和樹は肩をすくめて見せる。
「そうでもないさ」
調教師のような鋭い目つき。
それでも
「おまえがいなくて寂しいよ」
そこいらの女なら
腰を抜かすほど甘く征司は囁いた。
「へえ、征司お兄様がそんなこと仰るなんて」
だけど――さほど驚きもせず。
画面の向こうの和樹は
「僕をアメリカへやったのはあなたたちじゃありませんか」
静止画のように
こちらを見据えて言った。
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