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「アレ?アレって言うと……」
ああ
すでに『しまった』って顔してる。
見てられないとぼけようで
望は頭をかいた。
「和樹だよ。うちの大事な末っ子だ。忘れたか?」
獲物を追い詰めるように
征司は怖いほどの笑顔でにっこり画面に微笑みかける。
「ああ、和樹ね。分かってる。ちょっと待って」
しどろもどろ
望が画面から消えた。
そして
1分もしないうち――。
悪知恵を絞って
舞い戻って来た本物の長兄が言った。
「えーと、今はお風呂に入ってるから出られないよ」
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