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貴恵が征司から電話を奪い取るようにして
画面の前に陣取った。
「これは何?」
その手には
和樹が渡米するはずだったチケットが握られている。
「何でしょう?画像が悪くて……よく見えないな」
あちらの方が一枚上手だ。
見えないはずないのに。
「僕宛のラブレターか何か?」
弟は憎らしくも
目を凝らすフリをして小首を傾げる。
「いや、いいんです。差出人は言わなくても分かりますから」
長年の敵の
神経を逆撫ですることも忘れずに。
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