同じ心を持つ

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「母の日が近いこともありますが、憧れの花なんです。子どもの頃には大嫌いでしたけど」 うん、と言うように加川が軽く頷いた。 「母を早くに亡くしたんです」 どうして初対面の人にここまで話をしているのか、さくらにはよくわからない。 「他人の事情なんて知らずに、学校じゃお母さんの作文を書けとか顔を描けとかな」 加川が意地の悪い表情になる。 「もしかしたら加川さんも……?」 「いいや、ピンピンしてる。まあ、今はオレの母親じゃないけどな。オレが十歳の頃、家族捨てて他の男んとこに走った」 さくらは言葉を探したが見つからない。 「そんな顔しなくていいよ。昔は恨んだけど、仲が悪い訳じゃない」
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