同好の士

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「……困ったわねえ、寒気がする」 春雪先生はひとり呟いた。 とてもそうは見えないとはいえ、春雪先生は八十歳近い。 最近は近所の公民館でのお習字の指導が春雪先生の仕事だけれど、ちょっと動けそうにない。 春雪先生は、代わりを頼める教え子を頭に浮かべてみた。 実力がある子はこだわりが強くて人に教えるのに向かない。 人柄が善ければ押しが足りない。 どちらも備えている子は当然のように自分の仕事で忙しい。 一人ギリギリ頼めそうな子がいるけれど、ウンと言うだろうか。 春雪先生は電話を手にした。
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