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がらりと戸を開けて入って来た男を見て、生徒さん達は一瞬シーンとする。
入り口に頭をぶつけそうになったから、相当に大柄だ。
予想と反して、生徒さん達の子どもと大差ない年頃だろう。
「見ての通りの若輩者です。人生の先輩方に先生なんて呼ばれると困ります」
「何とお呼びしたら?」
道江さんが生真面目に聞いた。
「春雪先生はアオイと呼んでますから、それでいきましょう」
「アオイちゃん」
「ちゃんは要りません」
多少生暖かい空気の中で、講座はゆるゆると始まった。
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