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他の者が手を出すはずはない。
ならば、結論は一つだ。
お嬢様自ら寝ずに今日の朝まで起きていた…
そして、気づく。
ベットの横に置かれた丸テーブルに書置きがあるのを。
「私がこの屋敷を勝手に出て行く事を許して下さい。あなた達には感謝してもしきれないほどに私のわがままに付き合って貰ったわ。それも、もう終わり。文句を言うなら、ブラド公にぶつけて下さい。追伸、銀の弾丸でも構いませんよ。」
と、感謝の言葉とお嬢様の本音が綴られていた。
シンクレアはこれを読むなり顔を青くし、卒倒しそうになるが、なんとか踏みとどまり急いでメイド達に事を知らせた。
そして、今に至る。
だがこんな状況の中、シャーロックだけは涼しげな顔に笑みを浮かべ廊下を進んでいく。
寒空の下、朝露に濡れる樹海を1人の少女は疾駆していく。
高揚した気持ちは抑えが効かず、口元には笑みが零れ、身体には重力が働いていないのではないかと疑えてしまうほど身軽に感じられた。
自分を縛る父親という枷から離れ、まだ見ぬ未知の世界への好奇心が彼女の脚を前へ前へと押しやって行く。
これで、晴れて私は自由よ。
この想いを胸に、少女ーアリシアは暗い樹海を切り裂く眩い希望への光明に飛び込んで行った。
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