第1章

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無許可で撮影されている彼女はそんなことを気にもとめず、それよりも大男を睨む方に気が気でないようだった。 そんな、複雑なムードの中へ扉を静かに開け、メイドの女性がこの雰囲気を気にもとめず、つかつかと入ってきた。 片手に赤々とした液体の入った三つのグラスをトレーに乗せている。 メイドは三人の席の前にグラスを丁寧に置くと大男の横に退いた。 少年も撮影衝動が治まったようで元居た席へと戻る。 男二人はグラスを手に取り掲げ乾杯といった形をとっているが、少女だけは全く乗り気ではない。 それどころか、 「シンクレア、こっちに来て私の代わりにこれを飲んでくれないかしら?」 と手招きをして、透き通るような美しい声で片付けるように促していく。
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