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無許可で撮影されている彼女はそんなことを気にもとめず、それよりも大男を睨む方に気が気でないようだった。
そんな、複雑なムードの中へ扉を静かに開け、メイドの女性がこの雰囲気を気にもとめず、つかつかと入ってきた。
片手に赤々とした液体の入った三つのグラスをトレーに乗せている。
メイドは三人の席の前にグラスを丁寧に置くと大男の横に退いた。
少年も撮影衝動が治まったようで元居た席へと戻る。
男二人はグラスを手に取り掲げ乾杯といった形をとっているが、少女だけは全く乗り気ではない。
それどころか、
「シンクレア、こっちに来て私の代わりにこれを飲んでくれないかしら?」
と手招きをして、透き通るような美しい声で片付けるように促していく。
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