2.カラスの巣

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…実を言うと他にも理由があったが、今はそのことは話さないでおいた。クロウはその間黙って聞いていた。 「…それで、仕事が欲しいんだ」 「なるほどな。確かにここで金稼ぐのは簡単だ」 「どういうことだ?」 「わからないか?ここは何でもアリの街だ。アンタがさっき見事に引っかかった連中だって、ここじゃお咎めなし。それこそ強盗や密売、淫売、殺しだって立派な職業だ」 「僕はそんなことがしたいんしゃない!」 思わず立ち上がったロベルトを、クロウは静かに手で制す。 「わぁってるよ。そう熱くならんでくれ。よし、わかった。アンタを雇ってやる」 あまりなクロウがさらっと言ったので、危うく聞き逃すところだった。 「ほ、本当に?」 「ああ、雑用係でも良けりゃな」 「…ありがとう、僕を信じてくれて」 礼を言うと、クロウは少し目を見張った 後、笑いをこらえるように言った。 「アンタは俺を信用したか?」 「ああ、信じる」 「根拠は?」 「え、根拠?」 「俺を信じた根拠だよ」 「あー…助けてくれ…はしなかったけど、手当てをしてくれたし。なんというか、信じるに足ると…いや、違うな。直感的にそう思ったんだ」 それに、と付け加える。
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