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「ホットミルクが美味しかった」
そう真顔で答えると、今度こそクロウは吹き出した。
「アンタ意外と楽観的なんだな。最初は死にそうな面してたから心配したが、杞憂だったか」
そう言ってクロウが握手の手を差し出した。それを握り返そうと手を出しかけて、ハッと気付いて引っ込める。
「…君はまた僕を引きずり倒して首をしめるのか?」
「そんなヒドいことをいったい誰が?」
お互いニヤリとしながら、握手を交わした。
「さてと、今日はもう寝ろ。そこのソファを使え。特別に安くで貸してやる」
「金は持ってない。…さっき盗られた」
苦々しい思いで呟くと、クロウはカラカラと笑った。
「それはお気の毒に!冗談だ。金なんか取らねぇからさっさと寝な」
そう言ってクロウはろうそくを消した。
しばらくして静寂に包まれた部屋からクロウが出て行く扉の音が聞こえたが、ロベルトはすでにまどろみの中に落ちていた。
外では雪がしんしんと降っていた。
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