22人が本棚に入れています
本棚に追加
「…きろ。おい起きろロベルト」
クロウの声に意識が覚醒する。
「ボケっとしてんな。さっさとこれに着替えろ」
「…おはようクロウ、いったい何の騒ぎだ?」
「おはようロベルト君。行くとこがある。それにアンタも同行する。そのための支度だ。ちなみに今はもう昼だ」
その言葉にロベルトは潔く起き上がった。用意されていた服を着る。どこかみすぼらしいシャツに、泥のこびりついたカーゴパンツだ。
「いったいどこに?」
「行けばわかる。ハイこれかぶって」
「うわっ」
クロウにかぶせられた帽子はぶかぶかで、目まで隠れてしまう。
「み、見えない」
「アンタのその金髪と碧眼は目立ちすぎる。昨日みたいな格好もダメ。カモにしてくださいと名乗り出てるのと同じだ」
クロウはまた例の黒いコートを羽織った。
「この街の名前を忘れたか?アンタより身分の低い、底辺層の住む街だ。まさにゴミだめさ。よし、じゃあ行くぞ」
ロベルトは帽子をかぶりなおして頷いた。
*
最初のコメントを投稿しよう!