3.フランク

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外は雪が積もっていた。 今は止んでいるが、昨日は一晩中降ったようだ。 ロベルトは白い息を吐き出した。サバーブより寒さが厳しい。母手製の青いマフラーを巻きながら、離れてまだ三日と経たない故郷を思った。ほとんど中身のなくなった鞄を手に、クロウの背中を追って歩く。 「どこに行くんだ?」 「ついくりゃわかる」 クロウはロベルトを軽くあしらいながら、早足で街並みを過ぎていく。その間に何人かと挨拶を交わしていた。ヤバそうな男から若い女、老人まで…なかなかに顔が広そうだ。 「君はこの街に詳しいんだよね?出身者?」 「さぁね」 「年はいくつ?あまり僕と変わらないように見えるけど」 「ご想像にお任せする」 「家族とか親戚は?」 「秘密主義なもんで」 「本当の名前はなんていうんだ?」 「黙秘権というものがあってだな」 「何の仕事をしているんだ?」 「そのうちわかる」 「…君はそればかりだな」 「アンタは質問ばっかりだ。着いたぞ」 たどり着いたのはこれまた寂れた酒場だった。 昼間の飯時だかどうも活気に欠ける。 「おうクロウ。しばらくぶりだな。ここ数日どうしてた?」 「よぉフランク。ちょっと仕事でな」 フランク、と呼ばれた店の店主らしい人間は、年は50過ぎの恰幅の良い初老の男だった。禿げた頭を撫でながら、白んだ髭の下に人の良さそうな笑みが浮かべている。
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