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「フランクにアンタを泊めてやるように言ったんだが、断られでもしたか?」
やはり家の中に招き入れてくれたクロウに、ますます気分が高揚するのをロベルトは感じた。
「いいや。フランクはとてもよくしてくれたよ。彼は本当に良い人だ」
「じゃあなんで?」
「君に…お礼を言わなきゃならないと思って」
「礼?」
「フランクを紹介してくれて」
我ながら下手な言い分だと思ったが、半分は本当だ。
「あとお願いも」
「…なんだ?」
不穏な気配を感じたのか。クロウがかすかに顔をしかめる。
「ここに僕をおいてほしい」
そう言うとクロウは今度は隠しもせずに嫌な顔をした。
「お願いだ!君の邪魔はしないし、干渉するつもりもない!だから…」
「本気か?」
「…君が、良いと言ってくれるなら」
「そんなにここがお気に召したとは思わなかったな。俺が駄目だと言ったら?」
「…その時は諦める」
やはり無理だろうか。さっきまで上昇していた気分が急激に下降する。ロベルトは落胆の表情を隠すのも忘れ、(無意識ではあったが)すがるような眼差しでクロウを仰ぎ見た。
「…わかった。わかったからそんな顔で見ないでくれ」
クロウがやれやれといった風にため息をつく。ロベルトは一瞬何を言われたのかわからなかった。
「え、じゃあ…いいの?僕がここにいても…?」
「ああ」
「本当に?本当にいいの?」
「しつこい。アンタから言いだしたことだろ」
「あ、ありがとうクロウ!」
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