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地図を頼りに目的地を目指す。
歩き回るうちすっかり辺りは暗くなり、寒さが増してきた。そんな時だ。細い路地裏から悲鳴に似た声が聞こえた。
「なんだ…?」
ロベルトは躊躇せずその路地裏に入りこんだ。その悲鳴は、数人のいかにもな男達に羽交い締めにされ襲われている一人の若い女のものだった。ロベルトに気づいた女がすがるように叫ぶ。
「た、助けてぇ!お願い…いやっ、助けてっ!!」
その声に男達が一斉にロベルトに振り返る。マズいと思った時にはもう遅かった。
「なんだぁ?お前はぁ?」
「見慣れない顔だな。よそモンか?」
「こんなとこでお散歩かい、ぼーや?」
次々と男達ーよく見ると五人いるーはロベルトに群がり、あっさり囲まれる。ロベルトは震える声を抑えつけて言った。
「…彼女を放してやれ」
「ああ?なんだって?」
「嫌がってるだろ、かのじよを放…がっ!」
言い終わらぬうちに腹を殴られ、ロベルトは地面に膝をついた。次いで胸倉を掴みあげられ顔を殴られる。鉄の味が口内に広がる。
「ガッハハハハ!マジで引っかかったぜ!」
「よしじゃあスレるモンだけ頂戴してあとは好きなだけ遊んでやれ。メアリー」
メアリー、と呼ばれた方に目をやると、先程襲われていた女が立っていた。女がロベルトの前に歩み出る。
「んふふ、悪いわねお兄さん。コレ、頂くわよ」
そう言って女はロベルトから財布を抜き取った。
「なぁんだ、これっぽっちかよ」
「シケたガキだ。この身なりじゃおおかたサバーブ出だろ」
「まぁいいじゃねぇか。もうちょっと付き合ってくれよ色男!」
その言葉とともに足が振り下ろされたところで、ロベルトの意識は途切れた。
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