1.ダストシティ

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ロベルトが目を覚ました頃にはもう辺りは真っ暗だった。 「…いっ」 起き上がろうとすると体が痛みを訴える。 「…なんてこった」 その痛みが自分がどういう目に遭ったのか理解した。 どのくらいの間気を失っていたのだろう。もうあの男達も女もいない。傍らには荒らされたカバンと空の財布、そして青いマフラーだけが残されていた。降ってきた雨が頬を打つ。 「いったい僕が何をしたっていうんだ…」 「何もしなかったのがアンタの敗因じゃあないか?」 うっかり漏らした独り言に、返答があったことに驚き辺りを見回す。するとバサッバサッと羽音がし、黒い羽が落ちてきた。塀の上に鴉が一羽とまっている。 「だ、誰だ!?」 「まぁそう警戒しなさんな。俺は無害だ」 朗々とした声を響かせ、暗闇から一人の男が現れた。 全身を黒いコートに包み、下手すれば闇にまぎれてしまいそうな出で立ち。顔も長い前髪で隠れていて、灯りのない今は全く窺い知ることができない。 「あーあ、酷くやられたなこりゃ。骨はイッってないか?」 「あの、あなたはいったい…」 「にしてもあんな古典的な手口に引っかかる奴がまだいるとはなー。このダストシティじゃきっとアンタだけだ」
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