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カラカラと笑う声は存外若い。
いや、それよりも。この男は今なんと言った?この口ぶりではまるで…
「ありゃ女もはじめからグルだったんだ。三文芝居に付き合わされた挙句、金までスられるっつー屈辱的なやり口さ。まぁガキのイタズラみたいなもんだが」
「ちょっと待ってくれ…もしかして僕が騙されるのを最初から見てたのか?」
まさか、そんなわけない。
人がまんまと騙され殴られるさまを黙って見届けるような悪趣味な人間がどこにいる。そう思おうとしたロベルトを、男はあっさり両断した。
「ああ、見てたとも。見事な騙されっぷりだったな」
「なっ!なんで助けてくれなかったんだ!わかってたんだろう!」
「わざわざ面倒ごとに巻き込まれる奴がどこにいる?」
さも当然と言わんばかりに男は言い放った。
ロベルトはここにきてようやく理解し始めていたーこれこそがこの街、ダストシティなのだ。
「…じゃあなんで僕が目を覚ますまでここにいたんだ?」
「ああ、それは…」
男は言いながら一枚の紙切れを示したーロベルトの地図だ。
「どうやらアンタが俺を訪ねようとしてるみたいだったんだね」
カァと鴉が羽ばたき、男の腕にとまった。
「ミスター・クロウの館へようこそ、坊ちゃん?」
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