2.カラスの巣

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「あの、あなたの名前は、…!?」 差し出された手をグイッと引かれ、ソファに倒された。首に男の手がかかる。 「なっ、…っ…んぐっ」 覆いかぶさって見下ろしてくる男の顔を、始めて見ることができた。 漆黒の髪は肩ほどまで伸びている。同じく漆黒の瞳は切れ長で、白い肌と相まって男の顔が端正なものであることを伝える。こんな状況でなければ見惚れるほどだ、などとぼんやりしてくる頭で思った。 「今の話は本当だろうな?それとも新手の刺客か?」 ギリッと男の手に力がこもる。 「がっ…ほん、とうだ…っ」 「……」 しばし見つめあった後、すっと男の手が離れた。一気に吸い込んだ空気に肺が圧迫される。 「ゲホッガホッガハッ…はぁ…はぁ」 「…疑って悪かった。傷の手当てしてやるよ」 乱れた髪をかきあげながら、男は言った。 *
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