願い

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─────南ノ空カラ降リ注グ      優シイ月華ヲソノ身ニ浴ビテ      月ノ精ニ祈リナサイ 最も高い位置から柔らかい光を放つ月。 地球上の全ての生き物に生命を吹き込む太陽の、生きていくために不可欠な光とは相反するものではあれど、月光には不思議な力が宿っている。 心が洗われていくような気がした。 幾度となく見上げてきた光。 とても厳粛で、忘れていた清純な心が浮かび上がてくる。 (願ってみよう…) ベランダに設置している木製のテーブルセット。 2脚ある椅子の1つに腰を下ろすとまぶたを閉じ、胸の前で手を組んで頭を垂れた。 「どうか、私のほほ笑みを見つけて下さい。自分では探しだすことが出来ないのです。心の何処かに置き忘れてしまったようで…お願いします…」 『これが全てのはじまりだった』
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