発端

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「高木さんっ 結婚を前提にっ ぼっ ぼっ…僕、とお付き合い、し、して下さい!」 とある旅行会社の企画部署内での出来事。 高木と呼ばれた女性。 名前は美衣子(みいこ)。歳は22。 緩やかなウェーブ、といえば聞こえがいいがパーマを当てたのはもう数カ月前…。 大分とれかけていた。 薄化粧でも充分大人びた印象を与える容姿は名前のほうが負けていた。 身長も低い方ではない。 長くスラリと伸びた脚を組みかえながら彼女は目の前の状況をしばし眺めていた。 キリッとしたツリ目がちな瞳を見開いて。 そして先ほど、言葉に詰まりながらも懸命に交際を申し込んでいたのは20歳の男性。 気力を使い果たしたのか…。 申し込んだ彼女を見つめたまま立ち尽くしていた。 三井知愛(みつい ともちか)。 富士額なせいで、ナチュラルに前髪が真ん中から分かれてしまうので童顔な顔に磨きがかかっている。 眼鏡をかけているのは少しでも歳相応に見せたい彼の精一杯の努力? 役には立っていないが…。 身長も男性としては、あと10センチは欲しいところか…。
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