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仁王立ちになっていても、貫禄がない。
顔中真っ赤で耳まで赤い。
周囲は時が止まっているかのように静まり返っていた。
誰も言葉を発しない。
呼吸をすることすら気遣われているように。
作業中の手もそのままに。
その場にいた全員が事の成り行きを見守っていた。
パソコンのファンの音だけが微かに響くフロア。
固唾を飲んで動きを待つ社員たち。
美衣子の口がゆっくりと動いた。
「はい…」
「ええぇぇぇぇぇぇ──────っ!?」
どよめきが部屋全体を揺るがした。
音が伝わる振動が部署内を震わせた。
美衣子と、嬉しさのあまり赤面したまま卒倒した知愛を除く全員が驚きの声を上げたのだ。
業務、午前中の出来事だった。
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