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「みぃ先輩 ここのところ笑っていませんよね? 私 心配です…」
悲しそうとも苦しそうともとれる顔で覗き込んでくる夏樹に苦笑を返すしかなかった美衣子だ。
確かに少々クールな性格ではあるが、自分の感情には素直だ。
楽しい時は楽しいし、嬉しいときも嬉しい。
でもそれが表面に出なくなっていた。
笑顔にならない。
まるで、そんな表情を知らないかのように。
薄々とは感じていたのだ。
『喜怒哀楽』の『喜』と『楽』をどこかに置いてきてしまったのか。
確かに感情は動いているのに、それが具現化出来ない。
表情がツイテコナイ。
「なにそれ? あんた顔面神経痛にでもなったの? 気持ちが動いてるのに表情に出ないって…わざとしてるんじゃないわよね? エイリアンにでもなっちゃったわけ?」
「美奈先輩 それはエイリアンさんに失礼ですよ。彼らには最初から感情がありません。あるのは高度な知識だけです」
真剣に力説する夏樹。
目が本気だ。
呆れる美奈は、そんなことはどうでもいい、とばかりに視線を美衣子に戻した。
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