2人が本棚に入れています
本棚に追加
*******
「HEY!菊代。
今日、これから呑みに行って、そのあと刺激的にすごさないかい!」
現在、私が勤務している病院の(もちろん動物)の院長先生は、大学での私の師匠である。
私が卒業する少し前にに学校を辞め、独立開業した師匠のもとに私が転がりこんだわけ。
正直、獣医師の世界はなかなか厳しくて、成り手がいなければ、引き取り手もいないという二重苦の茨の道。
師匠からのお誘いは、就職難にあえぐ私には、まさに『渡りに船』なわけで、応募した全ての病院が空振りしたのを見届けてから、私は師匠の話を請けた。
給与もちゃんといただけるし、休みだってある。
勉強だって出来る。
なのに、ギリギリまで回答を保留した理由はたった一つ。
ものすごく女癖が悪いのだ。
軟派とか、そんなレベルではない。
昔に、イタリア人は出会う女性全てに声をかけると聞いたことがある。
師匠は、その上をいく。
出会ってもない女性を口説こうとするのだから。
まず、女性一人と知り合えば、その女友達や姉妹を聞きにいき、必死でアポをとりにいく。
おかげで、常に何股かけているのかわからない。
そんな師匠が、独身でけっこう可愛い(友達からは、よく言われる)私を放っておくわけがなく、在学中から何度もお誘いがあった(全て断ってるけど)
百パーセント日本人の師匠が、どこからそんなイタリア人顔負けの女好きになったのか、
なぜ、下手くそ英語をちょいちょい混ぜてくるのか、
私はそんなに興味はないが、知る機会があれば知りたいと思う。
最初のコメントを投稿しよう!