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「さて、私も帰るか」
そう思った矢先に、次々やってくる急患。
師匠はとうの昔に涼子とやらのもとに行っていて不在。
一応"医師"たる私が全ての処置を施し、ようやく勤務を終えたのはもう夜の九時をまわっていた。
……私の勤務時間、九時から五時なのにな。
そんなおり、トドメとばかりに一羽の鶏が連れてこられた。
『庭をうろついていた』と、捕まえられた鶏。
けっこう、保健所では可哀想だからと、うちに連れてこられる野生動物は多い。
うちも慈善事業ではないので、そんなことされても困るのだが、押し付けられるように置いていかれてはどうにもならない。
とりあえず、病気とかはないのか、診察ベッドに載せて、愚痴をこぼしながら診察を始める。
鶏が喋ったのは、それから間もなくだった。
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