乙女ちゃん

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「一体、なんなのよー」 どうにか身体の下から抜け出す。 澤野さんはなんだか倖せそうな顔して眠ってる。 「あれですか、 酔ったらキス魔になるタイプですか。 ……なら、次からこんなに飲まないでください」 「んー」 ぷにぷにとほっぺをつついてみたら、 ふにゃんと笑った。 ……なんですか、それ。 可愛すぎでしょ。 なんか女の子みたいですよ? あ、そうだ。 今日私に迷惑掛けた罰として、 これから私の中であだ名、 乙女ちゃんに決定です。 しわになるといけないので ジャケットを脱がせる。 眼鏡も邪魔だよね、と抜き取った瞬間。 「ミツキ……」 すぅーと一筋、 澤野さんの目から涙が流れ落ちた。 それはとても綺麗な涙で目が引き寄せられる。 ……けど。
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