第43章:裏切り者と呼ばれた背景に -後編-

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「あぁ、私もだ」 一方で昭仁は、なにかを試しているような口調だった。 「じゃあ、お先にどうぞ」 マリアはさらりと言った。 すると昭仁は眉を釣り上げ、強い口調で言った。 「君は真っ先に、私に謝らなければならない事が、あるのではないのかね」 マリアが黙っているので、昭仁は続けた。 「社長室の私の机の引き出しから、クリアファイルを盗んだだろう。まさか、私が気付いてないとでも?」 「あ。あぁ、そのことね」 マリアは、ニコリと微笑む。だが、気力のない笑みだった。 「今すぐに返して欲しい。どうせ今は持ってないのだろう。どこへやった?」
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