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「あぁ、私もだ」
一方で昭仁は、なにかを試しているような口調だった。
「じゃあ、お先にどうぞ」
マリアはさらりと言った。
すると昭仁は眉を釣り上げ、強い口調で言った。
「君は真っ先に、私に謝らなければならない事が、あるのではないのかね」
マリアが黙っているので、昭仁は続けた。
「社長室の私の机の引き出しから、クリアファイルを盗んだだろう。まさか、私が気付いてないとでも?」
「あ。あぁ、そのことね」
マリアは、ニコリと微笑む。だが、気力のない笑みだった。
「今すぐに返して欲しい。どうせ今は持ってないのだろう。どこへやった?」
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