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強気の態度から急に弱々しさを見せた演技派女優・マリアに、昭仁はギョッとする。
「純一さんは完全に、私を見捨てた。だけど、純一さんは離婚を切り出すまではない人なの。仮面夫婦なの。
私はバカね。料理ができるだけで良かったのに…」
『料理が出来るだけの女なら、私にはごまんといるのだよ』
純一が言い放った言葉が、マリアの頭の中にエンドレスで繰り返される。
「…マリア。夫と、なにかあったんだね?急に連絡をしてきた時から不自然だとは思っていたが…」
昭仁は再び、優しい口調に戻った。
まだまだマリアに対する昭仁の熱は、簡単に冷めるものではないらしい。
マリアは、話を始めた。
全ては自分が巻いた種なのに
全ては純一に愛されたかっただけなのに
こんなことに、なるなんて。
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