高鳴り

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「それにしても、蒼井の奴本当になにしてんだ?」 「さぁ?そういえば前、ここに支えている家来に知り合いがいると言っていた。その人と話をしているのではないか?」 そんな話、聞いたことは一度も無かった。 それでも、蒼井と水波は仲が良いから自分が知らないことに不満は無かったし、「あぁ、そうですか」と、そういった気分にさせられた。 その分、水波と二人きりというだけなのだから。 「へぇー」 と、素っ気ない言葉を返すだけ。 「探してこようか」 「はぁ?そんな面倒な真似良いよ」 つーか、なんでこんなそわそわしてんだ? なんだか、俺と二人きりになるのを避けようとしてる、みたいな……? 「いや、でも、」 「良いって言ってんだから、ここにいろよ。そんなに俺と一緒に居るのは嫌かよ」 そう白井が水波に言えば、「はい、そうです」と言わんばかりに、白井から目を逸らした。 そんな水波の態度にイラッとくれば、心にも思ってないようなことを言ってしまいそうになる。 「あっそうですか。 そんなに一緒に居たくねぇんなら探しに行けば?」 「そうじゃっ、ないけど…――」 じゃあなんなんだよ、その間は。 くそ、なんで俺はこんなに苛々してるんだ。いちいち水波の言動に苛立って仕方がない。 何故だ。 「んだよ、さっきからハッキリしねぇなぁ。そうじゃなきゃなんだっつーんだよ」 相変わらず憎まれ口を叩かずにはいられない。 「だ、だって…二人きりは……気まずい…だろうが」 「…は、はぁ?」 思いもよらない水波の言葉に白井はすっとんきょうな声を漏らしてしまう。 少しだけ頬を染め、水波は白井と目が合えば、恥ずかしげに目を逸らす。 「…は、なに?男の癖に俺のこと意識してんの」 オレのことが好きなのか?とか、小っ恥ずかしいことを言っときながら、意識してんのかよ。 有り得ねぇ。 白井がマジ顔で聞けば、 カアァァァァ―――― と、水波は顔を赤く染めた。 分かりやすすぎる。 「…マジかよ」 「だ、だってっ、き、キスなんてされたら…誰だって意識するだろ…」 「…………」 意識、してんだ。 なんだろ。 さっきまでの苛々がなんか吹っ飛んだわ。 「っく、っははっ、マジかよっ。っはは、馬鹿かよ。なにキスごときで意識してんだよ。つーか、俺もお前も男だろうが」 「そ、その男にキスをしたのは…白井じゃないか」
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