高鳴り

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「おい、水波」 「白井。もっと緊張感を持ってくれよ」 水波の屋敷で戦への会議終了後、白井は自室に戻ろうとする水波を呼び止めた。 水波は普段見せない顔で真剣に言う。 「ハイハイ。 で、これ」 「…え、これ……」 屋敷に来る前に買ったお守りを水波にへと白井は渡した。 水波は驚いた顔をして、渡したお守りを受けとる。 「これ、どこで買ったんだ?」 「は? 普通に大通りでだけど」 「………そう、なんだ。 これ、オレの為に買ってくれたの?」 水波は少しオロオロしながら聞いてきた。 そんな水波の頭をわしゃっと掴んでやれば、ムッとした顔はするが、怒りはしなかった。 「まあな。 水波にもしものことあったら困るだろ。だから、買ってきてやった」 「…困るって、なにが困るんだよ、バカ」 水波は頬を染めて、目を逸らす。 またキスをしてやりたくなるが、そんな気持ちを抑えるのに必死になる。 水波の今の表情は酷くそそられる物があった。 「そんな顔してっとその口塞ぐぞ」 なんて言ってみせれば、水波は顔を真っ赤にして睨んでくる。 そんな顔をして睨まれても困るものなど何もありはしない。 それなのに水波は大事そうにお守りを握れば、それを懐にしまった。 無防備過ぎる。 しようと思えばいつでもできるのにな。 というより! そんな事を思ってしまう自分が気持ち悪い! 「怪我したらいつでも俺のとこに来い。手当てぐらいしてやるから」 「…うん。 ま、極力白井に手当てなんてされたくないけどな」 「あぁ?なんでだよっ」 「だって白井の手当て痛いもん! 包帯とか凄いキツくやるしさぁ!」 「知らねぇよ!痛かったら言えよって言っても言わねぇからだろ!?はっ、それで文句言われても知ったこっちゃねぇ」 「だって言おうとしたら白井睨むじゃんっ!そりゃ文句着けたくもなるよ!」 「睨んでねぇよ」 「睨んでる!」 やっぱ、水波のことを好きなんて有り得ねぇ。 こんな煩い奴をなんで好きにならなきゃなんねぇんだよ。 絶対有り得ない!
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