第1章

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パッと暗転して一瞬で目の前が明るくなった。 すぐそばにはお気に入りの抱き枕があって 少し寝苦しく…でも、離れられない淋しさがある。 ふと、また…夢を見たんだと 真っ白な天井をボーッと眺めていたら 部屋のドアが前動作もなく開いて気構えてしまった。 「まだ起きてない!?早く起きてさっさと出て!!」 そう言われて今日も予定も何も無いのに また怒鳴られない内にそそくさと準備をして家から外に出た。 『あぁ、今日もこんなに眩しい…行くところも無い』 帰ることも苦痛に感じてふらふらと時間を潰して日が落ちて冷え込む時間帯になってきて、そろそろ帰っても良さそうだと家路に向き直ったら 急に人が現れてまた急に人が消えてしまった。 『え…』 現実ではあり得ないことが 目の前で起こって頭で考えることが出来ず しばらく立ち止まって呆然と何が起こったのか 回らない頭で考えることを望んでいると また、今度は目の前に現れた。 さっきは詳しく分からなかったが少年にも少女にも見える中学生くらいの年齢の子だった。 まだ回らない頭でなぜこっちをまっすぐ見ているのか疑問に思わずに姿がわかっただけで何だか分からないが安心してしまった。 「そんなに人生辛そうって顔してないで生きてることに笑いなよ」 『…別に辛そうになんかしてない』 「酷く歪な笑顔で言われても説得力は皆無だよ?」 内心すごく焦った 会って間もないこの子にずっと抱えて周りに弱音も吐いたことがないのに 出会ってすぐにこんなことを言われたら動揺くらいするだろう…
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