第3章

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「まず、事故、すなわち取り違えやね」 「可能性ある?」 「宮原研究室はウズラは卵すら持っていないから、可能性ゼロやわ」 「ウズラは塚原研究室のテリトリーだよね」 塚原研究室は、ウズラ同士の研究を行っているとは言え…。 「研究室をまたいで、細胞が混入するなんて、ありえないやん」 ナツはホワイトボードの『事故』の上に横線を引いて、取り消した。 「次は、 おっさんへの恨み。これは?」 「ホント、穏やかじゃないやん、それ」 「怒らないでね。例えば、そのピアスをくれた人は?『俺より研究が大事か』なんて喧嘩したとか」 私は、耳たぶの小さなシルバーのピアスを、右手で軽く抑えた。 「……日本にはいないし、居ても私とはもう関係無いし…」 「なんだか悲しそうな話じゃない。何があったの……」 「この話は別の機会に。今はウズラに集中しよっか」
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