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「まず、事故、すなわち取り違えやね」
「可能性ある?」
「宮原研究室はウズラは卵すら持っていないから、可能性ゼロやわ」
「ウズラは塚原研究室のテリトリーだよね」
塚原研究室は、ウズラ同士の研究を行っているとは言え…。
「研究室をまたいで、細胞が混入するなんて、ありえないやん」
ナツはホワイトボードの『事故』の上に横線を引いて、取り消した。
「次は、 おっさんへの恨み。これは?」
「ホント、穏やかじゃないやん、それ」
「怒らないでね。例えば、そのピアスをくれた人は?『俺より研究が大事か』なんて喧嘩したとか」
私は、耳たぶの小さなシルバーのピアスを、右手で軽く抑えた。
「……日本にはいないし、居ても私とはもう関係無いし…」
「なんだか悲しそうな話じゃない。何があったの……」
「この話は別の機会に。今はウズラに集中しよっか」
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