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「じゃあ、うちの保管庫に入れておけば、取り間違えなかったんですよね」
「そういう事になるわね」
「先生、わざと?」
「なんだ。長田さん、私を疑っているの?」
「……」
「私たちの細胞保管庫に入れる予定だったのだけど、水切れで湿度が少しくるっていたのよ」
「湿度?」
「そう。湿度よ。細胞保管庫で温度と湿度を調整するのよ」
私は黙って聞いた。
「あの日、湿度調整用の水が枯れて。エラーが出ていたのよ」
「エラー?」
「そう。それを東條君が見つけて、他に使える細胞保管庫を探してくれたのよ」
「そうだったんですか」
「だから、私じゃないわよ」
私は、少し恥ずかしくなり、下を向いた。
「でもね…、あのね、長田さん」
宮原先生は、言葉を選ぶようにして話し出した。
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