第1章

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「あっちゃんに言わないで来たし、これ以上一緒にいたら…」 高村くんに引き摺られそうになるのを、必死で理性で押さえていた。 そんな私をジッと見つめる高村くんの視線に、胸が苦しくなる。 それを避けるように俯いた。 「そうだな、あつしが怒るよな。 引き留めてごめん。」 掴まれた手首が解放されて、悲しくなった。 もっと一緒にいたい …もっと近づきたい 高村くんの温もりに包まれたい。 だけど… 彼の世界はこれから無限に広がっていく。その邪魔はしたくない。 「高村くんの活躍を楽しみにしてるね。 私は一番のファンだから…。」 これでいい 精一杯の笑顔を彼に向けると、背を向けてドアに向かって歩いた。 視界が揺らぎ始めるのを必死でこらえて玄関から出ると、涙が堰を切って溢れた。 拭っても拭っても止まらなくて、ドアの前で暫く動くことができなかった。
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