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ぽかりと何かが切り替わるように東風の瞼がひらかれる。 意識が浮上するときは大抵そうやっていきなりで、ゆっくりと目だけで周囲を見回して私の姿を認め、そのたびに慣れない性交のせいで動かない体を動かして、逃げようとする。 ささやかな抵抗は簡単に抑え込める。 逃げようとするたびに寝台に縫いとめて、ここに私がいるのだと思い知らせるように、抱きしめて口付ける。 一昼夜かけてその身体に私を染み込ませた後は、数日香も焚かず無理に身体を開くこともなく、ゆるりと触れ合うにとどめていた。 東風は呆けたように感情の抜けた顔をしている。 微かに揺れる瞳を覗き込み、慮ることができる程度だ。 「東風……愛しています」 囁いて抱きしめる。 触れ合う部分をこわばらせていることに気がついて、そっと身体に手を這わせる。 「怖がらなくていいんですよ……私は、ここにいます」 音をたてて軽い口づけを落とす。 そろそろ、身体も癒えたことだろうから、また私を覚えてもらおうか。 用意しておいた薬湯を口に含んで、口移しで飲ませる。 「……こ……な、に?」 「あなたの気持ちが楽になる薬です」 疲れたように閉じられていく瞼を追って、口付けた。 まだだ。 腕の中に確かにいるはずなのに、まだあなたは逃げようとする。
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