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窓の鎧戸の隙間から光がさす。
抵抗する力はないものの震えて拒否を示すその肩を、寝台におしつけて唇を貪る。
開かれたまま何も映し出さない瞳のなかに、私の姿を探し、首筋を指でたどる。
少しの刺激にも反応を返すのは、部屋に漂う甘い香りのせい。
何度もその精を放った彼の分身は、細くたらたらと蜜をこぼす。
力の入らない腰を持ち上げて、幾度目か数えてはいないけれど、身体の奥に入り込んだ。
「東風……」
耳殻を食めば身体がはねる。
もう声を上げすぎて喉が枯れているのだろう、その口からは悲鳴ともため息ともつかない音が流れ出る。
「……東風…東風、愛している……愛しているんです……」
がつがつと腰を打ちつけても、明らかな反応はもうない。
抱きつぶしているといってもいいだろう、長い時間の、彼には耐性のない香の力を借りた交合わい。
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