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目が覚めると、私は見知らぬ部屋の中にいた。
「……え……?」
起き上がって辺りを見回す。全体が白一色で塗り込められた部屋と言うには殺風景なこの場には、どうにも私以外の人の姿は見受けられなくて。
誰かいないのか、と不安に狩られた直後、私はこの部屋にあるべきものがないことに気が付いた。
「……あ、れ……? 出口は……」
ドアがないのだ。真っ白い部屋の壁をいくら見ても、ドアノブのようなものはない。出入り口が存在していなかった。
それなら一体、私はどうやってこの部屋へ入ったのだろうか。
いや、そもそも私は、自分でこの部屋に入ったのだろうか。
ところどころ曖昧な自分の記憶を辿っていたとき、アナウンスのようなものが部屋に響いた。
『さぁお待たせ致しました! 漸く全員の意識が戻ったようなので説明させていただきまーすっ!』
突然響いたアナウンス。それは明らかに、無邪気な子どもの声で。
『これからボクは、皆さんをゆっくり殺しに行きまーす! エリアは全部で七つ、それぞれのエリアにはひとりしかいません。つまり、これから出てくるドアを開けて、お兄さんたちは逃げることも可能です!』
くくっ、と、喉を鳴らして笑った少年の気配。
『それでは準備はいいですかぁ?』
少年がそう言った直後、白一面だった壁に突然、黒いドアのようなものが出現した。
『さぁさぁ、全エリアにドアの配置が済んだようなのでー……』
そのドアが、ひとりでにギィィィ、と開く。
『―――殺人ゲームの始まり、始まり!』
そう。
これが、全ての始まりだった。
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