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「そっち、終わった?」
「んー。ごめん、まだかかりそう」
荷物を纏めながらつい脱線してしまうのは、私に集中力がないからだろう。
大事にとっておいた雑誌をめくる。
思いがけず出てきた写真を眺める。
勿体なくて使えずにずっと残していた文房具を見ては、やっぱり今でも可愛いと思う。
「迷うものは後からでいいからさ、とにかく要らないもの纏めよう」
彼は言うけれど、それなりに思い入れがあるから今まで残しておいたのだ、そんなに簡単に言わないでもらいたい。
少々ムッとしながら、本棚と向き合った。
レシピ本は要る。
この雑誌は……特集が気に入ってたから残してたけど処分しよう。
小説、このシリーズは気に入ってるし、彼も時々読むから取っておいて。
あ、出来心で買ったBL本、これは彼に見つかる前に隠さなきゃ。
コンサートや演劇や映画のパンフレット、彼と旅行した時に買った旅行雑誌と地図……。
本棚の中にはぎゅうぎゅうに冊子が詰まっている。
これでもこの本棚を買うときに厳選して数は減らしたはずなんだけど、生活していれば新たなものが増えて、入りきらないものは部屋のすみに積んであったりした。
これも、私の歴史なのだ。
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