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6/10 出張 駅8:30
6/12 報告書、伝票は明日まで
6/15 久しぶりに会える♪
6/29 7/6のテニスコート予約 2時までに!!
7/18 ばかやろうっ!!
付き合い始めたときと同じ気持ちには戻れない、それでも私に会えば情が湧くから踏み切れない……
彼のそんな葛藤に気付けない私じゃない。
だって、本当に本当に好きだったから。
誰よりも愛してる。
だから。
……きっかけを作ってあげる。
『私に話したいことがあるんでしょ?』
苦しい。
苦しいよ。
本当は嫌だよ。
だけど……。
『少し歩こう』
彼が少し先をいく。
その背中を追いかけて、夕闇の川沿いをゆっくり歩いた。
ぽつりぽつりと紡ぎ出される彼の別離の言葉を、どこか遠い意識で聞いた。
次第に色を変えていく空は、これで彼を楽にしてあげられるという安堵と、濁流のように襲い来る寂しさがせめぎあう紫。
優しくて優しくて、でもそれと同じくらい弱い彼に呟いた。
『優しさと狡さは、似てるけど違うよ』
黙りこんだ彼を嫌いになれたら良かった。
友達に戻ろうと言った彼を拒絶すれば良かった。
恋人としての終止符は打たれても、私の想いにそれは打たれることがないままで。
恋人ではない、けれど一時は愛した私に無情になりきれず、惰性の愛情を……それはもう愛情ではないのに……時折与えてくれる彼がいて。
宙ぶらりんな結末を迎えてしまったが故に、決して叶うことのない私の長い長い片想いが始まった。
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