赤き川向こうに咲く 青き花

町

　周りの異様な張りつめた空気に、ソラとジェミニも言い合いをやめた。

　戸が強く、乱暴に開けられる。鋭く尖った眼光の頬のこけた男がのそりと入ってきた。

｢おいおい、湿気てんなあ。相変わらずよぉ｣

　男は異様なほど鋭い目で回りを見渡し、口許だけをグニャリと曲げた。

　ソラは眉根をよせ、懐へ手をいれる。周りを見渡せば、ほとんどが身震いしていた。

｢なんで、何で来るんだい｣

　震える声で酒場の女が声を上げた。客たちを守るように、お玉を構えて立ちふさがる。