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僕は「彩ヴォーグ」というMEGAMI専用洋品店で働いている、しがない大人です。
MEGAMIというのはですね、最近知られるようになった「セイバードール」という寿命は短いけど人ならざる力を持った、闘う女性の事を言うのです。
彩ヴォーグでは、セイバードール専用の戦闘衣装や身の回りの品を扱うお店なんですよ。
自己紹介がまだでしたね。僕は加藤勝秋(かとうカツアキ)と申します。これといった特徴はありませんが、人並みにセイバードールが好きですね。
一緒に店で働いている、江角伊奈(えすみイナ)さんは僕より歳上でセイバードールにかなり詳しいのです。
それもそのはずで、近くにはセイバードールのファーム「プラチナ」という話題の新規参入したファームから、「サガ」や「エンペラー」といった大手ファームまで犇めく場所ですからね。
ファームとは、セイバードールを育成・補佐する競馬で言えばトレーニングセンターにあたる存在ですね。
石を投げればセイバードールに当たる。と云われるくらい盛んな街にいるのですから、嫌がおうにも詳しくなるって話です。
セイバードールの戦闘用衣装は、最近では既製品を着るMEGAMIはいなく、噂では専門のデザイナーさんがデザインしているという中で、ご贔屓にしてもらっているのはありがたい話です。
プラチナは、新規で予算も少ないので既製品でやっている。とか。
セイバードール用を人間用に変えるのは簡単です。というのも、セイバードールはホムンクルスだか何だかの「人工生命」になるので人間に近い存在だからです。
昔は貴族の遊びだったとか…
それはともかく、セイバードールは寿命は短かいですが、戦闘能力やプロポーションは人間のそれと比べて比較にならないぐらい高いのですから、大きなお友達を中心に盛り上がるってもんです。
「はいっ!ボーッとしないで仕事するっ!」
江角先輩の檄が飛びます。僕を数少ない後輩として優しく、時に厳しく見守っているのです。
裏方に就いたのは、好きだけではありません。
短い命だからこそ、想いが乗ってしまうのです。
少ない命の中で、僕も携わる事が出来たらと思ったので、今の店を選びました。
「勝秋はすぐサボるんだから…
わたしが見ていなかったらダメな子ね」
なんだかんだ言いつつ見てくれる江角先輩は
もしかしたら、僕のMEGAMI様かもしれません。
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