第1章

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むかーしむかし。 あるところに、世界一不幸な男の子がいました。 男の子には、毎日のように不幸な出来事が起きます。 男の子が道を歩けば、犬に吠えられ、石につまづき、いつもヒザをすりむいてしまいます。 橋を渡れば、どんなに新しくピカピカの橋でもガラガラと壊れてしまいます。 海に行けば、それまでギラギラと輝いていた太陽も、雲のカーテンに隠れてしまいます。 男の子は、それでも落ち込んだりしませんでした。 男の子には、妹がいるからです。 男の子は、妹に心配をかけないようにいつも元気なふりをします。 そう。 男の子は、世界一不幸な男の子ですが、世界一優しい心も持っていたのです。 妹はそんなお兄ちゃんが大好きでした。 たとえ、 大きなテーブルで、二人だけでご飯を食べる日が続いても、あまりおいしくないパンをかじる日が続いても、妹は気にしていませんでした。 でも、妹には、不思議に思っている事がありました。 それは、ある時からパパとママがずっと帰ってこないことです。 お兄ちゃんに聞くと、 「パパとママはね、いつも僕たちをお空から見守ってくれているんだよ。」 と言います。 そして、毎日大きな箱に向かって手を合わせてい ます。「何しているの?」 と聞くと 「お前もやりなさい…」 と言われ、大きな箱にのったパパとママの写真に向かって手を合わせなくてはいけなくなります。 それで、私は、「変なの…」と思いながら、適当に手を合わせて逃げようとします。 すると、お兄ちゃんに「コラ!」と言われて、捕まえられてしまいます。そして、「お前ってヤツは~!」と叱られてしまいます。 厳しいお兄ちゃんです! でも、困ってるときや、いじめられたとき、 いつもお兄ちゃんは助けてくれます。 厳しくて、でも優しいお兄ちゃん。 そんなお兄ちゃんが私は大好きです!!!
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