第1章

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これが全てのはじまりだった。 私はそこまで書いてパソコンを閉じた。 ん? 何か聞こえるな。 なになに? 『「これが全てのはじまりだった」で終わらないといけないのだから、それで始まるのは間違いですよ』だって? ドキッとしましたね? 私は心が読めるのです。 『そんなわけない』って思いましたね。 私は心が読めるのです。 『ま、まさか本当に!?』と思いましたね? 私は心が読めるのです。 『いい加減うるさい』って? 私は心が読め……おっとっと、失礼。つい癖で、また同じことを言ってしまうところでした。 まあとにかく私は心が読めるのです。 『またかよ!』なんて思うのは止めてくださいね。 とりあえず今回の企画では「最後の一ページに『これが全てのはじまりだった』の一文がある」ことが条件なのです。 したがって、一ページで終わってしまえば、どこにその一文があろうと関係ないのです。 『なるほど! そんな手があるのか!』と思いましたね? そう、そんな手があるんです。 だから私は一ページで書ききる必要が……ん? また何か聞こえたぞ? なになに? 『たとえ一ページで終わるとしてもこれは企画の趣旨には適さないだろう』だって? これは審査員の方の意見だろうか? うーむ、心が読めると言っても対象が誰なのかわからないのが難点だな。 うむ、仕方がない。 もしもこの考えが審査員のものだとしても大丈夫なようにページを追加することにしよう。 なに? 『臆病』、『チキン』 だって? それは人事だから言えることだよ。 それにその二つは同じ意味だから、一緒に使わないように注意してね。 えっ? 『そんなの知ってる』だって? わかったわかった。失礼したよ。 まあひとまず次のページに行かせてもらうとするよ。
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