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「ええっと、それって男の友達(だち)と?」
「男も女もだ。お前の周りにいる全ての人間に嫉妬した」
志由は、彼方の前でそんな素振りを一度も見せなかった。
いつも、どっしりと構えていて、物静かで。自分は軟派な人間だったけど、志由は硬派を絵に描いたような男だった。
女性に興味がないのは、子供の頃から習っていた剣道の練習で忙しいからだと思っていた。
自分はなんて鈍感だったのだろう。
「お前が女と付き合う度に気が狂いそうだった。……別れたと聞く度に、心の奥底ではほくそ笑んでいた」
「全然知らなかった」
「そりゃー、そうだ。俺はずっと必死に隠していたからな」
こんな状況でなければ、キモイと腹にキックでもお見舞いをしていた所だが、今はそんな気にもなれない。
なぜなら、彼方も志由が女子に告白をされた時、嫉妬に近い感情を抱いたからだ。
そして、その子を振ったと聞いたとき、心の中で歓喜した。自分はチャラチャラと遊んでいたクセに、志由は自分だけのものにしたかった。
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