11/27
前へ
/27ページ
次へ
「うは。すっげー嬉しい」 「は?」 志由が間抜けな声を上げて彼方の体から離れる。冷たい床に尻をつけ、そのままずるずると後ずさりしていった。 「え? 何で逃げんの?」 ここから一気に盛り上がってもいいシチュエーションだ。それなのに志由の反応がおかしい。 「お前、何言ってんの?」 手のひらを返したような台詞に、彼方はムッとした表情を作る。 「何って、俺、今、告られたんじゃねーの?!」 「……そうだが」 「だーかーらー、嬉しいって言ってんの」 志由が、がくりと頭を下げた。そのままガリガリと髪を掻き毟る。 「これ、夢? それとももう俺、死んでるのか?」
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加