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「うは。すっげー嬉しい」
「は?」
志由が間抜けな声を上げて彼方の体から離れる。冷たい床に尻をつけ、そのままずるずると後ずさりしていった。
「え? 何で逃げんの?」
ここから一気に盛り上がってもいいシチュエーションだ。それなのに志由の反応がおかしい。
「お前、何言ってんの?」
手のひらを返したような台詞に、彼方はムッとした表情を作る。
「何って、俺、今、告られたんじゃねーの?!」
「……そうだが」
「だーかーらー、嬉しいって言ってんの」
志由が、がくりと頭を下げた。そのままガリガリと髪を掻き毟る。
「これ、夢? それとももう俺、死んでるのか?」
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