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「動揺すんなよ。これは夢でもないし、お前はまだ死んじゃいねーよ」
志由が、ゆっくりと顔を上げた。目つきの悪い切れ長の瞳が、すーっと細まった。
「あれか。最期だから同情してくれたのか」
「あ?」
「女好きのお前が、俺の気持ちを受け入れるはずなんてない」
「……ぐだぐだ言ってんじゃねーよ」
ベッドまで追い詰める。逃げる志由の頬を両手で挟み、唇を重ねた。
「お、おいっ」
「こういう意味で好きなんだろ?」
「そうだけど……、お前は違うだろ」
自分も少しおかしいのかもしれない。
どうせ世界は壊れる。人類は滅亡する。
地球はおしまいだ。
SF映画のように宇宙に旅立つような技術も、スペースシップを作り出す資源も残されていない。
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