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彼方と志由は同じ共同住宅で暮らした幼馴染でもあり、小学校から大学まで同じ学校の同級生である。
だが大学の入学直後に戦争が始まり、二人のキャンパスライフは一ヶ月という短い期間で終了する。
昔ながらの悪友同士は二人仲良く徴兵され、今は同じ戦地に出兵だ。
彼方は、腐れ縁というのはこの事を言うのだなと感じながら、閉ざされた密室にふーっと紫煙を吐いた。
おそらく今度が最後の戦いだ。
最期――になる可能性も十分にある。むしろ、そちらの確立の方が高い。
故郷は既に焼け野原になっていた。運よく生き残れたとしても、もう帰る家もなかった。
「なあ志由、起きてる?」
背中に問いかけると、大きな体をごろりと反転させて頭をこちらに向ける。
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