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放射能に蝕まれた大地、海、空。取り返しなどつかないくらい、地球は荒廃していた。
「なあ、お前さ、何か思い残すことってあるか?」
志由が彼方にかけた言葉は、まるで遺言だ。希望も未来もないこの状況で、一体、彼は何を聞きたいのだろう。
彼方は床に腰を落とし、足元にある灰皿に煙草の火を力強くもみ消した。
膝を抱えて自分の短い生涯を振り返る。
「思い残すことなんて、ありすぎだろ。俺たち、まだ二十一年間しか生きてねーし。志由のせいで、最後のコンパで彼女作れなかったし」
「あ?」
志由が、がばっと勢い良くベッドから身を起こした。
「なんだよ、それ、俺のせいなのか?」
「――――ったりめーだろ! あの合コンの時、お前がムスっとして感じ悪りーせいで、女の子たちが帰っちゃったんじゃねーか」
志由が自分のベッドから降り、彼方の方へと移動してくる。
咄嗟に身構えようとしたが、素早く胸倉を掴まれた。
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